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画像生成AIの著作権問題とは?「類似性」と「依拠性」から考える商用利用の法務リスク

画像生成AIの著作権問題とは?「類似性」と「依拠性」から考える商用利用の法務リスク

近年、画像生成AIサービスが次々にリリースされ、誰でも簡単&手軽に高品質な画像を生成できるようになりました。しかし、これらのAIサービスを商用利用する場合、著作権や肖像権に関する法務リスクの可能性があります。
先日もお客様からこんなご質問をいただきました。

お客様
お客様
商用利用OKの画像生成AIサービスを使いたいのですが、本当に会社で使っても問題ないものでしょうか?仕事にも安心して使える画像生成AIはありますか?

そこで今回は、画像生成AIサービスを商用利用する際の、主な法務リスクや対策方法についてご紹介します。

画像生成AIの著作権問題「類似性」と「依拠性」

裁判例では、著作権侵害の要件として、

  1. 「類似性(るいじせい)」
    生成された画像が、既存の著作物にどれだけ似ているか
  2. 「依拠性(いきょせい)」
    生成された画像が、既存の著作物を参照(依拠)して作られたか

の2つを満たすことが必要とされています。
このうち、画像生成AIサービスで特に気をつけなければならないのが「依拠性」です。

なぜ「依拠性」が問題になるのか?

画像生成AIは、大量の画像データを学習することで画像を作り出す技術です。
ただし多くの画像生成AIサービスでは、学習データセットの詳細が公開されていません。
そのため、下記のような著作物が学習データに含まれている可能性があり、その場合「依拠性」について否定することが困難になります。

  • アーティストの作品
  • 漫画やアニメのキャラクター
  • 企業のロゴやデザイン … etc.

実際の生成画像を見ると、たとえば固有の特徴を持つアニメキャラでもそっくりに生成できてしまうことから、いくつかの画像生成AIサービスでは大量の著作物を学習データとして使用している恐れがあります。

※参考:氾濫する生成AIアニメ 9万枚調査で見えた権利侵害|日本経済新聞社
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/ai-anime/
お客様
お客様
こちらに著作権侵害するつもりが全く無くても、AIの学習データの影響で似てしまったり、依拠性を問われたりする可能性があるのが怖いですね・・・。

「依拠性」による主な法務リスク

学習データが不明な画像生成AI、つまり著作物に対する「依拠性」の否定が困難なサービスを商用利用する場合、企業として考慮すべき法務リスクがいくつか存在します。

権利者による訴訟のリスク

  • 著作権者が、無断で学習データとして利用されたことを理由に訴訟を起こす可能性があります。
  • 損害賠償請求や使用差止請求が行われるリスクもあります。

ビジネスの持続性のリスク

  • 生成画像の使用が制限され、既存コンテンツの修正や削除を余儀なくされる場合があります。
  • 特に長期的な利用を前提としたプロジェクトでは、突然の使用禁止が大きな影響を及ぼす可能性があります。

企業としての信用や評判のリスク

  • 著作権侵害が認定された場合、企業イメージの低下につながる可能性があります。
  • クライアントやユーザーからの信頼喪失にも直結するリスクがあります。

なお、画像生成AIサービスの中には、すでにアーティストや企業などの著作権者から訴訟中のサービスが複数あり、これらの動向にも注意が必要です。

※参考:Getty Images、StabilityAIを提訴|CNET Japan
https://japan.cnet.com/article/35199679/
※参考:StabilityAI、Midjourney等に対する集団訴訟について|ロイター
https://www.reuters.com/legal/litigation/stability-ai-midjourney-should-face-artists-copyright-case-judge-says-2024-05-08/
お客様
お客様
訴訟中のサービスもたくさんあるんですね。やはり画像生成AIサービスの商用利用は法務リスクが心配です・・・。何かリスクを減らす方法はありますか?

法務リスクを軽減するための対策

1. 学習データが明確なAIサービスを選ぶ

法務リスクを軽減するためには、まず大前提として、著作権的に問題ないデータのみを学習させている画像生成AIサービスを選択することが重要です。

たとえば、Adobe Fireflyの学習データは「著作権の有効期限が切れたコンテンツ」「ライセンスがオープンにされている作品」「使用許諾を受けたAdobe Stockのアセット」であることが明示されています。

お客様
お客様
なるほど、著作権に問題のないデータを学習している画像生成AIもあるんですね。商用利用の場合は、初めからこういったサービスを利用するほうが安心ですね。

2. 利用規約のチェック

学習データの問題がクリアになった場合も、利用するAIサービスの利用規約の確認、特に権利関係や商用利用に関する制限については入念なチェックが必要となります。

また、商用利用が可能な画像生成AIサービスの多くは、生成された画像についての責任は利用者側にあるとされています。その場合、サービス提供元は生成画像に関する責任を負わず、著作権侵害などの権利侵害のトラブルが発生した場合、その対応や賠償などはすべて利用者が負うことになります。

お客様
お客様
商用利用OKだからといって、業務で問題なく使えるとは限らないわけですね・・・。トラブル時は自己責任となると、慎重に検討する必要がありますね。

3. 生成画像の用途に制限を設ける

企業のブランドイメージに直結するデザインや、長期的な使用を想定している場合は、リスク回避のために画像生成AI以外の制作手法も検討する必要があります。

画像生成のプロンプトに特定の人名やキャラクターなどの著作物を含めないことはもちろんですが、著作物との類似性をチェックする体制も重要です。

ただし、世の中のあらゆる著作物との類似性チェックは困難と思われるため、画像の出自や信憑性の判断材料として、コンテンツ認証情報をメタデータとして保存する画像生成AIサービスを利用しておくのも一つの方法です。

※参考:安心して生成AIを使うために求められる透明性|Adobe Blog
https://blog.adobe.com/jp/publish/2024/05/07/cc-firefly-generative-ai-and-copyright-authenticity-of-ai-generated-content
お客様
お客様
メタデータで画像の出自が確認できるんですね!トラブル防止や、万が一のときの説明責任を果たす意味でも、そういったサービスを選ぶのが良さそうですね。

4. 専門家への相談とガイドラインの整備

企業として画像生成AIサービスを利用する場合、法務部門や専門家への相談を元に、画像生成AIの利用に関する社内ガイドラインを整備することも大切です。
また、状況に応じて、ガイドラインの見直しと更新も必要となります。

お客様
お客様
たしかに、画像生成AIサービスの法務リスクについては、まだ社内でもほとんど話し合ったことがありませんでした。さっそく顧問弁護士にも相談してみます!

画像生成AIの著作権問題まとめ

画像生成AIの著作権問題とは?「類似性」と「依拠性」から考える商用利用の法務リスク

画像生成AIはとても便利なサービスですが、商用利用を行う場合は特に、

  1. 学習データに問題のないサービスを選ぶ
  2. 利用規約をよく確認する
  3. リスクを加味した適切な用途を検討する
  4. 必要に応じて専門家に相談する

といった対策が重要です。

また、画像生成AI技術は日々進化しており、AIを取り巻く状況や法制度も今後変化していくことが予想されるため、最新動向をチェックしながら適切な利用を行っていくことが必要と考えられます。

※参考:AIと著作権について|文化庁
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、法的アドバイスを想定したものではありません。具体的な法務リスクについては、必ず専門家にご相談ください。

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日野 夕奈
Webマーケティング部のスタッフです。主にデザインとコーディングを担当しています。見やすさ&わかりやすさ、それにちょっぴり遊び心を加えたWebデザインを目指しています。
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